句会がおもしろい
前回、俳句教室との出会いについて書いた。次は、句会方式の教室の魅力について。
句会方式の流れ
事前に短冊に書いてきた自作の4句を提出。無記名。先生も同じ。
清記するのは3名。順番に回ってくる。清記者は割り当てられた句を、清記用紙に書き出す。
出来たら3枚まとめ印刷、配る。
15分程度、それぞれいいなと思った自作以外の句を5つ選び、その中の一句を特選とする。
先生は「並選」と「特選」を選ぶ。
当てられたら、最初に「OOOO(←自分の名前)選」と言って、選んだ句を読み上げる。先生も「並選」と「特選」を発表。
この時点では作者は不明のまま。
選ばれた句の点数を計算。
高得点の句から鑑賞。選んだ人達が、なぜその句を選んだのか、素敵ポイントを発表する。その後作者が名乗り出る。
途中からは最初から残りの句すべて鑑賞。その都度、先生からのフィードバック「講評」もある。
次回のお題2つ決めて、解散。
この2時間の空間がとても好きだ。
スキその1:字を丁寧に書こうとする。
シャーペンと消しゴムを使うのは久々。パソコンで打ち込むのではなく、消えるペンで書きなぐるのではなく、一字一句丁寧に書く。
これだけでもかなり無になれるし、楽しい。
読めても書けない、書けても(写せても)読めない漢字があるので、携帯は欠かせない。
スキその2:しーんとした中で選句している時間が穏やか。
周囲のページをめくる音と、歳時記、携帯、電子辞書など使う動きを感じながら、先生の進み具合を時折チラ見しつつ、進めている。
ざっと一通り確認して、2周、3周して、脳内を巡っている。
- 作者はこの人かな
- イメージわくなあ
- 意味深!
- 清記、きれい
- 読めない漢字、多いぞ
- 知らない場所、単語、言葉、ホント多いな~
- この系統の句、得点集めそうだな。今回もそうかな、など。
清記された自分の作品を眺めると、「別の言い方の方が良かったかな」とか、「結構良いんじゃない!」とか、振り返るきっかけになる。
が、基本的には「と、とりあえず4句、間に合ってよかった💦」の安堵の方が大きい。
スキその3: 五七五の威力がすごい。
選句している15分間、場面や情景が一瞬で切り替る。切り替わるのはイメージだけじゃなくて、あたかも自分がその場にいるかのように、脳と身体も反応する。
熱や風を感じるし、なんか心がツンとなるなど。句の後に続きそうな、ストーリーが連鎖して浮かぶ。
作り手のうまさを感じる。それに加え、9名x4句。合計、36句。
1句17文字が、作り出す世界感がスゴイ。
例えば:
- 自然
- 伝統文化・伝統行事
- 平和
- スポーツ
- 選挙
- 旅行
- 富士山
- 観光名所
- 四季の移り変わり
- 体調
- 友情
- 青春
- 出会いと別れ
- 自然災害
- 世界情勢
- 移り変わり
- 人間の生きざま
- 体験
- 生物・植物、など。
選句には時間制限があるため、一気に駆け抜けるスピード感が増してそれも楽しい。
スキその4:人によって好みや解釈が全然違う&作者の意図も全然違う。
なぜこの句が好きだと思ったか。どういう印象を持ったか、そこには正解も不正解もない。良かったから選んだ。ただ、それだけ。
その後の、作者の名乗りも楽しいし、周りの反応も面白い。「お~」とか「わぁ」とか、それってどういう意味かな・・なーんて(笑)。
一つの句が何通りもの捉え方を作り出す。そこに、良し悪しもない。
自分が名乗る時も照れくさい&嬉しい。選ばれようが選ばれなかろうが、こういう風に思って作りましたって言えるのも楽しい。でも、選ばれるとやはり嬉しい。
先生や他の人が「ここ変えるといいかもね」、と言ってくれるポイントもありがたい。
作者が最後までわからないので、変な遠慮と余計な気遣い、気負いは不要だ。
スキその5:句を通じて作者のことを知る。
句に込めた思いや背景を聞くと、おのずとその人を知るきっかけになる。それがパズルのピースになり、集めていきながら、その人のことをさらに知ることができる。
自己紹介なしの、自己紹介だ。
俳句を通じての自分の自己紹介は、どんな人間として映るんだろうか。ドキドキだ。
俳句教室の人達は、皆、優しい。場所も優しい。年齢も背景も違うけれど、似たような雰囲気をまとってる。
スキその6:感性研ぎ澄まされた感、半端ない。
講座が終わると、身長が3センチ伸びた感じがする。頭がクリアで、自転車を漕ぐ背中がスッと伸びる。
風が頬を撫でる感じが解るし、自転車のサドルを握る手の平の柔らかさ、空と街とまばらな人の間をすり抜ける感覚が、現実の世界にそっと戻してくれる。
感性が研ぎ澄まされるってこういうこと?しかも時間はまだ15時。焦る時間でもないし、わくわくするような良い感じの気持ちになるんだ。
「あー楽しかった」
雨の日は、周りの色がさらにはっきりと濃く浮き上がるのを感じて歩いて帰る。白い家の白はもっとはっきり見えるし、公園の緑はもっと緑に、茶色は濃い茶色に、そして学校帰りの小中学生の声は少し遠く聞こえる。
そんな感覚が好きだ。
残念なことに、この感覚はすぐに消え去り、日々の生活に追われている。
この瞬間を大切に生きようと思うけれど、あれすべし、これすべしに追われ、すぐ携帯やネットの世界に埋もれている。
この感覚を活かして生活スタイル変えたら、すごいことが起きそうなのに。
自分では心がけようと思っても、継続は大変だ。教室に通うのは、自分の決めごとはすっ飛ばすけれど、誰か他の人が関わるとちゃんとしようとする、自分の性格に合っている。
が、俳句を作るのにとても手こずっている。それはまた次回。